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モノエタノールアミンオレイン酸塩を用いたバルーン閉塞下逆行性静脈閉塞術
-前向き多施設共同単群試験-

2017年5月10日

要旨

胃静脈瘤の治療であるバルーン閉塞下逆行性静脈閉塞術(BRTO)に使用する薬剤モノエタノーアミンオレイン酸塩の薬機器法承認を目指して施行した医師主導治験の結果について、米国学術誌Journal of Vascular and Interventional Radiologyに掲載されました。

今回の医師主導治験は国立国際医療研究センターがプロトコルの作成から試験の実施に関わる調整を行いました。2013年よりプロトコルを作成に取りかかり、2014年8月より全国8施設で試験を開始し、2015年12月に目標症例数45例が集積し試験を完了しました。

本試験の結果は、総括報告書にまとめられ、2016年6月に富士化学工業よりモノエタノールアミンオレイン酸塩の適応追加のための承認申請が行われました。

本試験では、胃腎シャントを有し内視鏡で確認できる胃静脈瘤のある患者が対象とされました。全例にモノエタノールアミンオレイン酸塩を用いたBRTOが施行され、主要評価項目である治療3ヶ月後の内視鏡完全消失率は79.5%(35/44例)でした。副次評価項目である造影CT評価による胃静脈瘤の完全血栓化率は93.0%(40/43例)でした。全例に有害事象が生じましたが、多くは軽度から中等度の事象で、薬剤に関連する重篤な有害事象は敗血症の1例でした。

本試験参加施設>

国立国際医療研究センター、新百合ヶ丘総合病院、兵庫医科大学、東海大学、大阪市立大学、豊中市民病院、埼玉医科大学、北里大学

研究の背景

胃静脈瘤は主に肝硬変患者に生じる病気です。胃静脈瘤が破裂すると大量出血をきたし、死亡率は約50%前後と報告されています。BRTOは世界に先駆け本邦の金川らが開発した胃静脈瘤の治療で、孤立性胃静脈瘤を消失させる唯一の治療とされています。しかしBRTOで使用する薬剤モノエタノールアミンオレイン酸塩の胃静脈瘤に対する適応がありませんでした。本試験は、モノエタノールアミンオレイン酸塩の薬機法による承認を獲得し、BRTOが保険収載されることで、日本全国の胃静脈瘤患者の治療に貢献することを目指して行われました。

本研究の概要・意義

本試験は、BRTOに関する世界で初めての前向き多施設共同試験です。また、GCP省令を準拠した非常に信頼性の高い試験で有効性と安全性を確認しています。

  • a BRTO治療前

    BRTO治療前

  • b BRTO治療3ヶ月後

    BRTO治療3ヶ月後

今後の展望

2016年6月に富士化学工業より医薬品医療機器総合機構に適応追加申請され、現在審査中です。
2018年度の診療報酬改定に向けて、日本消化器病学会よりBRTOを新規治療として保険収載の要望書を現在提出中です。

発表雑誌

雑誌名:Journal of Vascular and Interventional Radiology
論文名:Short-Term Safety and Efficacy of Balloon-Occluded Retrograde Transvenous Obliteration Using Ethanolamine Oleate: Results of a Prospective, Multicenter, Single-Arm Trial
掲載日:2017年5月6日にオンライン版に掲載。

参照URL

Journal of Vascular and Interventional Radiology

本件に関するお問合せ先

国立国際医療研究センター センター病院 消化器内科
責任著者 小早川 雅男(こばやかわ まさお)
電話:03-3202-7181(代表) FAX:03-3202-7364
E-mail: mkobaya@hosp.ncgm.go.jp

取材に関するお問合せ先

国立国際医療研究センター 企画戦略局 広報企画室
広報係長:三山 剛史(みやま つよし)
電話:03-5273-5258(直通) <9:00~17:00>
E-mail:tmiyama@hosp.ncgm.go.jp