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インターナショナルトライアル部長就任のご挨拶

Wada_Koji
2024年2月1日に国立研究開発法人 国立国際医療研究センター 臨床研究センター インターナショナルトライアル部長を拝命しました。インターナショナルトライアル部は、臨床研究センター内に、企業やアカデミアに対して、海外での(インターナショナルな)臨床試験(クリニカルトライアル)の企画実施を支援することを目的として、平成28年(2016年)に設置されました。 2025年4月に予定されている国立感染症研究所と国立国際医療研究センターが統合され、新たに設立される国立健康危機管理研究機構の青写真が示されるなどしています。その中でも、次のパンデミックを想定して、ワクチン、治療薬、診断薬の臨床開発において、国際的にも、企業やアカデミアと連携して、できるだけ早く、確実に、臨床試験などが実行できるよう体制整備に努めて参ります。

私自身は、2007年に厚生労働省の新型インフルエンザ専門家会議に参画させていただき、2009年に新型インフルエンザH1N1での対応を経験し、その後に、日本の対応などをまとめる機会をいただきました。(新型インフルエンザ(A/H1N1)無料公開中

国立国際医療研究センターの国際医療協力局に所属していた際には、ミャンマーでのHIV対策や、ベトナムチョーライ病院でのAMR対策、コンゴ民主共和国の黄熱病対策など、国際的なプロジェクトを経験させていただきました。

2018年に国際医療福祉大学医学部公衆衛生学教授として、いつかまたおこるであろう感染症危機管理について研究を続けておりました。2020年に発生した新型コロナウイルスでの対応では、厚生労働省のクラスター対策班やアドバイザリーボードに参画させていただき、公衆衛生対応を検討する機会などいただきました。(令和4年度地域保健総合推進事業 新型コロナウイルス感染症対応記録

しかしながら、手洗い、マスク、ソーシャルディスタンシングといった公衆衛生対策だけでは不十分であり、最後は、薬とワクチンがないとパンデミックを克服できないことと、私自身がそれらの経験が乏しいことを痛感しました。次のパンデミックにおいては、薬とワクチンの開発についても貢献したいという思いで、グローバルな製薬企業においてワクチンと抗ウイルス薬のメディカルアフェアーズにて仕事をさせていただきました。そうしたなかで、このたび、国立国際医療研究センターでこのような機会をいただき身が引き締まる思いです。

薬やワクチンの開発から実用化までは様々な困難があります。効果と安全性のバランスは当然ですし、特にワクチンの安全性には細心の対応が必要です。これまでも、開発され、使用されたものの、安全性の懸念が生じて、使われなくなったワクチンもありました。パンデミックの中では外出などができず臨床試験に大きな影響もありましたが、今後においてはDXを用いた解決策が進められています。また、企業における感染症領域の臨床開発への投資にはビジネスの観点からも大変難しい現実もありますが、公的な資金の確保なども行われています。そうした困難な中でも、様々な解決への動きが具体化されています。企業やアカデミア、そして、アジア、世界とも連携して、少しずつでも課題を解決し、そして日本として世界への貢献ができるよう、いただいている責務において確実に取り組みを進めて参りたいと考えております。



国立研究開発法人 国立国際医療研究センター 臨床研究センター
インターナショナルトライアル部 部長 和田耕治