概要
臨床研究の専門家に対する高い需要がある一方、現実では人手不足が顕著であり、それは世界中どの国や地域においても例外ではありません。この状況は低・中所得国ではさらに深刻であり、十分な研修の場が無いために、多くの人のスキルは国際水準に到達していないのが現状です。
国際共同治験(MRCTs)を通じて、信頼できるエビデンスを様々な環境で同時に得るためには、臨床研究専門家は科学的素養に加え、医薬品規制調和国際会議(ICH)の医薬品の臨床試験の実施基準(GCP)、倫理および規制上の要件に沿った知識を習得する必要があります。
アジア・アフリカの国々を中心に、自立型の臨床研究環境を整備するため、質の高い人材育成とインフラの確立に努めています。
目的
- アジアとアフリカにおける臨床研究の専門家の能力強化
- 臨床研究に関連する様々なテーマや、各国の具体的な健康ニーズに対して継続的に協力し、議論する臨床研究専門家ネットワークの構築
- 現地主導型研究およびグローバル研究の両方を実施できる、独立した自律的組織の構築
私たちのコラボレーター
アフリカ
コンゴ民主共和国
- University of Kinshasa
- National Institute of Biomedical Research (INRB)
スーダン
- Mycetoma Research Center, Khartoum
- National Institute of Biomedical Research (INRB)
東南アジア
タイ
-
Faculty of Medicine, Siriraj Hospital, Mahidol University
-
Faculty of Tropical Medicine, Mahidol University
ベトナム
- Bach Mai Hospital
- Cho Ray Hospital
インドネシア
- Infectious Diseases Hospital Sulianti Saroso
- Universitas Indonesia
- Mochtar Riady Institute for Nanotechnology
- Siloam Hospitals
フィリピン
- University of The Philippines
- Corazon Locsin Montelibano Memorial Regional Hospital
- West Visayas State University
活動内容
フィリピン
インドネシア
2021年10月25日から29日にかけて、インドネシア大学協力のもと、主に2つの活動が行われました。治験責任医師向けの“How to conduct a good quality clinical trial~質の高い臨床研究の実施の為に~”と題した研修は、ライブセッションに加えMoodleシステムを利用したe-ラーニングのプラットフォームも活用して実施され、55名の医師、薬剤師が本研修を修了されました。
また“Patient safety in Clinical Trials~臨床研究における患者の安全~”と題したオープンオンライン会議には、規制当局、製薬会社、病院、大学を代表する333人の方にご参加いただきました。
タイ
2021年11月9日から27日にわたり、シリラート臨床研究機関協力のもと、「COVID-19禍の臨床試研究の強化:デジタル革命の台頭」を主題とした研修がハイブリッド形式で行われました。
6日間にわたる本研修では、リモートモニタリング、在宅医療:臨床試験の未来、eConsentプロセス、電子データ収集と管理、ジェネリック製剤の方向性と規制、監査準備とCAPA管理、コミュニケーションと時間管理、の7コースが行われました。表1の通り、参加者の大半(延べ426名)が電子データ収集・管理コースに参加されました。
表1 タイ研修参加状況
No | コース | 参加人数 |
1 | リモートモニタリング | 224 |
2 | 在宅医療:臨床試験の未来 | 243 |
3 | e-consentプロセス | 362 |
4 | 電子データ収集と管理 | 269 |
5 | ジェネリック製剤の規制と方向性 | 39 |
6 | 監査準備とCAPA管理 | 37 |
7 | コミュニケーションと時間管理 | 35 |
ベトナム
バクマイ病院協力のもと、2つのプログラムが実施されました。初回は、2021年12月4日から16日にかけて、「臨床研究メソッド」をテーマとしたオンライン研修が実施され、インドネシア国内の18の病院から109名の登録参加者を迎え、延べ659名の方にご参加いただきました。
2回目は、プロトコールの内容をもとに9名の参加者を選抜し、3月4日から3月11日まで、倫理審査委員会によるプロトコールの審査はどのように行われるのか、また研究実施までの実践的なステップついて学ぶワークショップにご参加いただきました。
コンゴ民主共和国
2022年8月15日から19日にかけて、キンシャサ大学臨床薬理学・医薬品安全対策学科は、国立生物医学研究所(INRB)の協力のもと、臨床試験専門家向けの研修を実施しました。
この“Clinical trial training for investigator~治験責任医師のための臨床試験トレーニング”をテーマとした対面式研修には、医師、薬剤師、生物学者など様々なバックグラウンドを持つ87名の方にご参加いただきました。
また、本研修のサブトイベントとして「Towards medical innovation from the bench to bedside~ベンチサイドからベッドサイドへの医療イノベーションを目指して」と題したカンファレンスは一般参加者も対象として実施されました。
スーダン
首都ハルツームにあるマイセトーマ研究センターの主催で臨床試験専門家のためのワークショップが5日間にわたり開催され、50名の方にご参加いただきました。
2022年11月1日から9日にかけて行われた本ワークショップは、臨床試験に関心を持つ若手研究者の意欲を高め、研修の場を提供する事で、将来汎アフリカ臨床試験訓練プラットフォームの設立を志すような科学者を多く輩出することを目的として行われました。このワークショップは、臨床試験プロセスのさまざまな側面とその長所と短所を概観する特別な場となりました。臨床試験や研究分野における、先駆者的研究者や科学者の方々にワークショップを主導していただき、その多くの知識や経験が共有される場となりました。
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お知らせ
- 2024/02/07
第4回シンポジウム開催のご案内
The 4th NCGM/CCS/DIT International Symposium on Clinical Research/Trials - 2023/02/07~08
第3回シンポジウム開催のご案内
The 3rd NCGM/CCS International Symposium on Clinical Research/Trials - 2022/03/03~04
第2回シンポジウム開催のご案内
2nd International Symposium “Setting up preclinical and clinical trial in resource-limited contexts: challenges and current state” - 2021/03/11~12
シンポジウム開催のご案内
International Symposium "International Clinical Trials during COVID-19 era: Should we suspend or continue?" - 2020/01/18~31 MRCT short Training Program 2020
Experimental model for capacity building of clinical research professionals in developing countries.
- 2019/01/16~25 MRCT short Training Program 2019
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e-ラーニングコース
これまで自国で研修を積んできた臨床研究専門家向けの上級研修コースには、今後医師主導臨床研究をリードするであろう29名の臨床研究専門家が参加しました。
前臨床試験、規制1・2、医療研究者のための生物統計学と疫学、データマネジメント、トランスレーショナルサイエンスの7つのコースで構成されたこのeラーニングコースは、2021年11月に開始し、2022年5月31日に終了しました。
参加者の声
「PMDAのセミナーはとてもためになりました。MRCTは昨今、関心の高いテーマであり、治験に関連する規制や医薬品安全性監視システムは私の業務にとても関連があります。今後の協業によってさらに学びを深め、NCGM(DIT)と共に治験や臨床試験が実施できることに期待しています。」 Dr. Lula Yves Ntamba, University of Kinshasa, DR Congo, MRCT STP 2019
「今回のプログラムでは、興味深い事がたくさんありました。日本の研究施設や職場の文化、最先端技術に触れる事ができ、MRCTに関しては初めて学びました。又、様々な国の同僚と友達になる機会に恵まれました。」Dr Borimas Hanboonkunupakarn, Mahidol University, Thailand, MRCT STP 2019
「全ての内容が有益で興味深いものであり、参加者全員が有能で熱意に溢れていました。特に日本の包括的な医療行為にとても感銘を受けました。これからもメンバー同士で連絡を取り合いたいと思います。有難うございました。」 Dr. Debby Intan Permatasari, RSPI Prof. Sulianti Saroso Hospital, Indonesia, SSP 2016
「有益で効果的な内容でした。日本とベトナム両国の医療事情を理解し、新たな協力関係を築くために、このようなプログラムが増える事を期待しています。」 Dr. Ly Na Dau, Cho Ray Hospital, Vietnam, SSP 2016
シンポジウム
2nd Symposium "Setting up preclinical and clinical trial in resource-limited contexts: challenges and current state"